人生で何回聴いたか分からない、ボクにとっての世界一の名曲「愛してます」。
PUNPEE、5lack、GAPPERからなるPSGの代表曲の1つだ。どこかファンタジーなイントロの後の静寂、そしてビンタ音からの「バカっ」で幕を開けるPSG劇場。
ねっとり?したフロウ、日常で感じるそれぞれの愛を表現したリリック、思わず楽しくなっちゃうビートの中毒性の高さは折り紙付きだ。
そんな楽曲の新Ver.「愛してます/I WISH」が収録されたOriginal Loveのアルバム『What a Wonderful World with Original Love? 』が発売された。
今までの想いと、新Ver.の想いを全部詰めて「愛してます」を綴ろうと思う。
00年代末に来航した異質なHIPHOPトリオ・PSG
高校生の時はipod nanoが主流だった、今みたいにサブスクは存在せずレンタルショップ・GEOでディグってはパソコンに落とし込む日々。とはいえ、近所のGEOがヒップホップに富んでいるはずもなく、メジャーなヒップホップやもどきを聴いて満足していた。
そんな偏屈だったボクのヒップホップを彩ってくれたのが、クラスで前の席にいた同級生(後のMu the Final)。そこら辺にいそうなメガネ野郎なのに、驚くほどヒップホップへの造詣が深く、様々な名盤をUSBに入れて貸してくれた(あだ名はパンピーではなく、変態メガネ)。
そんな時に出会ったのが、PSGの伝説の幕開けとなったアルバム『David』。当時、正直な感想はこれはヒップホップなのか? なんか、ビートやスキットも独特だし「P」ってめっちゃ入れてくるし、良いか悪いかも評価できなかった。
ただ、気づくと、また欲して聴きたくなる。特に「愛してます」「かみさま」あと「M.O.S.I」も。
あの頃は、英語を巧みに取り入れたSEEDAや、ゴリゴリ系のANARCHYか、ポップさも織り込まれたm-floやTERIYAKI BOYZなどの日本語ラップに夢中だった。けど、正直マイブームはあれど、ヒップホップというジャンルは何でも聴いてきた。だからこそ、違和感をの真相を暴くために、何度も聴いた。そして、ゆっくりと遅効性の毒のようにPSGの楽曲は僕を蝕んでいった。もちろんいい意味で。
その後リョースケから、PSGのメンバー編成やPUNPEE、S.L.A.C.K.(5lack)が兄弟ということ教わり驚く。なんか聴いたことあったと思っていたら、SはS.L.A.C.K.のSなのかと。当時、ZEEBRAとのシングル「White Out」と1stアルバム『My Space』をヘビロテしていたからだ(気づけよっていうハナシ)。
そして、Original Loveの楽曲「I WISH」をサンプリングしているということを知った。すぐにチェックしたし、「I WISH」のみで留まるはずもなく、そこからOriginal Loveのベストアルバムまで聞くようになったのは至極当然だった。
当時では珍しかった、日本のアーティストからのサンプリング楽。日本語ラップとレゲエ一筋だった僕に、J-POPのかっこよさを教えてくれたのも、この曲だった。
さて、自伝が長くなったが、あれからPSGのメンバーの飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を追いながらも、「愛してます」を聴きまくってきた。目覚ましに設定しているから、聞くたびに目がギンギンになるようにもなった(笑)。
ヒップホップの幅を広げてくれ、音楽の自由さを知るきっかけになった「愛してます」が、今回新Ver.をリリース。しかも、Original Love・田島貴男との合作。配信日だけ30回くらいは聴いたし、何回も踊った。ボクは「愛してます」を愛してます。
「愛してます」であり「I WISH」でもある、「愛してます/I WISH」
「愛してます/I WISH」はPSG &Original Loveによる楽曲。ヒップホップでよく用いられるFeat(客演)ではない。
たかが表記の違いでは? と思うかもしれないが、ここに大きな差があり、相互の愛に満ち溢れている。つまりは、客演はいない両方が主役なのだ。
そもそも、PSG「愛してます」は、PUNPEEが無名時代にバイトしていた際に「I WISH」を見つけた時に思いついた楽曲。
中古ビデオ屋でバイトをしてた頃、ビデオの山に混じってた“EYES”のCDを店内でかけた時、この曲は生まれました!泣
『What a Wonderful World with Original Love? 』特設サイトより
サンプリングの楽曲は、いくら名曲でも本家からの許可が降りなければオフィシャルのリリースが難しいことで知られている。それが、本家に認められたどころか、椎名林檎や斉藤和義ら大物が参加したデビュー30周年のアルバム『What a Wonderful World with Original Love? 』内の楽曲に選出、しかもトリを飾る最後の一曲。
PSG「愛してます」にOriginal Loveの音と田島貴男の熱い歌声が加わり……いや、Original Love「I WISH」にPSGが……いやいやどちらでもない、PSGとOriginal Loveのとにかく最高なマリアージュだ。
実はこの心踊るコラボは過去にも片鱗を見せていた。2019年にOriginal Loveは楽曲「グッディガール feat. PUNPEE」をリリース。「お〜ウフフ、マジでか」と口角がニヤニヤと上がったのをよく覚えている。
加えて、同年のOriginal Loveライブでは「グッディガール feat. PUNPEE」披露後に、5lack、GAPPERも参戦してPSGで「愛してます ~I Wish ver.~」を熱唱したとか。
改めて、最後に「愛してます/I WISH」について綴りたい。
PUNPEEと田島貴男の「そりゃあの頃はつまんないことthinking」のハモりのあたりは泣きそうになったし、全体で音の厚みが増え、 Original Loveへのリスペクトが足されたPUNPEEのリリックには大興奮した。
愛する人、愛する生活、愛する音楽を歌った「愛してます」、幾千万の夜を過ごしたくなる愛する人を歌った「I WISH」。当たり前だが両曲のビートの源流は同じだし、マッチしないわけがない。それどころか、田島貴男の魂が込められた歌声は楽曲全体に色っぽさを。PSGのラップは「I WISH」にポップさ、物語性をもたらした。
ジャンルが異なる両組の今作は、ある種のオムニバス形式になるかと思っていたが、ヒーローたちのアンサブルであり映画『アベンジャーズ』のようだった。同テーマで歌われているんじゃない、両方の音楽が完全に融合して1つの作品へと昇華。田島貴男とOriginal Love、PUNPEEとPSG、ジャンルこそ違えど愛とリスペクトに溢れている相思相愛だから成し得た珠玉の1曲だ!と主張したい。
つまりは、PSGを受け入れたOriginal Love並びに田島貴男の懐の大きさと、創作への飽くなき探究心が、今回の世界最高の名曲を生んだのだ。本当にありがとう!!!
さて、しつこいがボクの満足のために最後、ボクは「愛してます/I WISH」を愛してます。
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